スーパー戦隊が終了する理由はなぜ？人気低迷？製作費の高騰？今森茉耶二股不倫騒動との関係性とは

2025年10月30日、日本のエンターテイメント界、そして多くの子どもたちと、かつて子どもだった大人たちに激震が走りました。共同通信をはじめとする複数の大手メディアが、「スーパー戦隊シリーズ」が現在放送中の「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」をもって、その半世紀（50年）にわたる歴史に幕を下ろすと一斉に報じたのです。

1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」から始まり、世代を超えて「正義」「仲間」「勇気」を伝え続けてきた、あのカラフルなヒーローたちの活躍が、テレビから見られなくなるかもしれない。この衝撃的なニュースに、「信じられない」「嘘であってほしい」といった悲鳴に近い声がインターネット上を駆け巡りました。

報道によれば、終了の背景には「人気低迷」や「製作費の高騰」による採算性の悪化があるとされています。さらに、50周年という記念すべき作品である「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」の放送中に、メインスタッフとキャストによる前代未聞の「戦隊内不倫・二股疑惑」スキャンダル（週刊文春報道）が明るみに出たことも、この決定に何らかの影響を与えたのではないかと憶測が飛び交っています。

この記事では、スーパー戦隊シリーズがなぜ今、放送終了という岐路に立たされているのか、その理由とされる要因を多角的に徹底分析・考察します。

報道された「放送終了」の事実関係とテレビ朝日の公式見解
「人気低迷」や「製作費高騰」とされる具体的な背景
長期的な視聴率および関連グッズ売上の推移データから見える実態
浅井宏輔氏・今森茉耶氏・道脇豊氏を巡る不倫・二股騒動の全貌と、放送終了への関係性
なぜ「仮面ライダーシリーズ」は好調とされるのか？両者の明暗を分けた要因
シリーズが輩出したスター俳優たちと、終了が芸能界に与える「登竜門」喪失の影響
この衝撃的な報道に対するネット上の反応とファンの声

半世紀にわたり、私たちに夢と勇気を与え続けてくれたヒーローたちは、なぜ今、テレビから去らなければならないのでしょうか。その真相に迫ります。

目次 Outline

1. 1. スーパー戦隊シリーズが放送終了へ？50年の歴史に衝撃
2. 2. 放送終了の理由「なぜ」：人気低迷と製作費高騰が背景か
3. 3. スーパー戦隊シリーズの視聴率推移：長期低迷の実態とは
4. 4. スーパー戦隊シリーズの関連グッズ売上推移：ビジネスモデルの限界
5. 5. 出演者の二股不倫騒動との関係性は？浅井宏輔、今森茉耶、道脇豊の不倫騒動は何があった？
6. 6. スーパー戦隊シリーズでスターになった俳優は誰？「登竜門」の歴史
7. 7. スーパー戦隊シリーズ終了で芸能界を受ける影響は？新人売り出しへの影響は？
- 7-1. 7-1. 1年間の「実戦教育プログラム」という唯一無二の価値
- 7-2. 7-2. 芸能事務所の新人売り出し戦略への大打撃
8. 8. 仮面ライダーシリーズは順調？スーパー戦隊シリーズと明暗を分けた理由はなぜ？
9. 9. スーパー戦隊シリーズ終了に対するネット上の反応とは？
10. 10. まとめ：半世紀の歴史への感謝と、未来への希望

1. スーパー戦隊シリーズが放送終了へ？50年の歴史に衝撃

2025年10月30日、多くの人々が日常を過ごす中で、非常に衝撃的なニュースが報道されました。それは、日本を代表する特撮ヒーロー番組「スーパー戦隊シリーズ」が、現在放送中の第49作「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」をもって、テレビシリーズとしての放送を終了するという内容でした。

1-1. 2025年10月30日の衝撃的な報道内容

この日、共同通信は「【独自】スーパー戦隊、放送終了へ　テレ朝、半世紀の歴史に幕」と題した記事を配信しました。この記事は瞬く間にYahoo!ニュースのトップを飾り、朝日新聞、毎日新聞、スポニチアネックスといった主要メディアも次々と追随して報じる事態となったのです。

各社の報道内容はほぼ共通しており、「関係者への取材」に基づいた情報として、以下の点を伝えています。

テレビ朝日系で放送されている「スーパー戦隊シリーズ」が、現在の「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」を最後に終了する。
1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」から続く人気シリーズが、約半世紀（50年）の歴史に幕を下ろすことになる。

この報道は、長年にわたり日曜日の朝の「顔」として親しまれてきた番組の終焉を示唆するものであり、多くのファンや視聴者に計り知れない衝撃を与えました。

1-2. 1975年から続く半世紀のレガシー

スーパー戦隊シリーズの歴史は、1975年（昭和50年）4月5日に放送を開始した石ノ森章太郎原作の「秘密戦隊ゴレンジャー」から始まりました。「5人のヒーローが色分けされたスーツを着用し、集団で悪と戦う」という革新的なフォーマットは瞬く間に子どもたちの心を掴み、大ヒットを記録します。

次作「ジャッカー電撃隊」（1977年）が9ヶ月で終了した後、一時的な休止期間はあったものの、1979年の「バトルフィーバーJ」からは毎年1作のペースで新作が制作・放送される体制が確立されました。それ以来、「太陽戦隊サンバルカン」（1981年）、「鳥人戦隊ジェットマン」（1991年）、「侍戦隊シンケンジャー」（2009年）など、数々のヒット作を生み出し、現在放送中の「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」（2025年）は実に第49作目を数えます。

1979年から2025年に至るまで、46年間一度も途切れることなく新作が放送され続けたという事実は、世界的に見ても稀有な偉業であり、まさに日本のテレビ文化を象徴する「レガシー」となっていました。その歴史が、50周年という節目で途絶えるかもしれないという事実は、単なる番組終了以上の重みを持っています。

1-3. テレビ朝日の公式コメントは「お答えしていません」

この衝撃的な報道に対し、放送局であるテレビ朝日はどのような見解を示したのでしょうか。MANTANWEB（まんたんウェブ）を含む複数のメディアがテレビ朝日の広報部に取材を行ったところ、返ってきた回答は「今後の編成についてはお答えしていません」というものでした。

これは、報道内容を肯定も否定もしない、非常に慎重なコメントです。通常、全くの事実無根であれば即座に否定のコメントが出されることが多い中で、この「お答えしていません」という回答は、報道内容が事実である可能性を色濃くにじませるものとなりました。

制作会社である東映からも、同日時点ではこの報道に関する公式なアナウンスはありませんでした。ファンとしては、今後の正式な発表を固唾をのんで見守るしかない、非常に不安な状況に置かれています。

2. 放送終了の理由「なぜ」：人気低迷と製作費高騰が背景か

では、なぜ半世紀も続いた国民的シリーズが終了する事態となったのでしょうか。各社の報道で共通して指摘されているのは、ビジネスとしての「採算性の悪化」です。長年のファンにとっては信じがたいかもしれませんが、シリーズを継続することがビジネスとして困難になった可能性が浮かび上がってきました。

2-1. 報道が指摘する「採算性の悪化」とは

共同通信やスポニチアネックスなどの報道によると、関係者は終了の背景について「イベントや関連グッズ、映画化などで得られる収入が、番組制作費に見合わないことなどがある」と証言しているとされています。

スーパー戦隊シリーズは、単なるテレビ番組ではなく、玩具（関連グッズ）、映画、ヒーローショー（イベント）など、多角的に展開される一大ビジネスプロジェクトです。番組の制作費は、主にスポンサーである玩具メーカー（バンダイナムコグループ）などが提供する関連グッズの売上によって賄われてきました。

この証言が意味するのは、そのビジネスモデルの根幹が揺らいでいるという深刻な事態です。「人気低迷」という言葉だけでは片付けられない、収入と支出のバランス崩壊が起きていた可能性が考えられます。

2-2. 製作費高騰の具体的な要因分析

一方で、収入が伸び悩む、あるいは減少する中で、支出である「番組制作費」は年々高騰する一方であったと推測されます。近年のテレビ番組、特に特撮作品の制作現場では、以下のようなコスト増の要因が常態化しています。

映像技術の高度化:
視聴者の目は年々肥えており、ハリウッド映画にも見劣りしないVFX（視覚効果）やCGが求められるようになっています。特にスーパー戦隊シリーズの「華」である巨大ロボット戦のシーンでは、高度なCG技術が不可欠であり、これが制作費を圧迫する大きな要因となっていたと考えられます。
コンプライアンスの強化:
ひと昔前のような無理な撮影スケジュール（「徹夜は当たり前」といった体制）は、現代の労働基準やコンプライアンスの観点から許容されなくなっています。スタッフの労働時間の管理、安全対策の強化、ハラスメント防止策など、適切な制作環境を維持するためのコストは、過去に比べて格段に増加しています。
物価・人件費の上昇:
一般的な経済状況の変動も無関係ではありません。ロケーション撮影にかかる費用、美術セットの材料費、そして経験豊富なスタッフやスーツアクターなどの専門職に対する人件費も、物価上昇に伴い増加傾向にあったと見られます。

これらの要因が複合的に絡み合い、収入が減る中で支出だけが増え続けるという、企業として継続が困難な「採算割れ」の状態に陥っていた可能性が非常に高いと言えます。

2-3. 東映幹部が語った「自転車操業」の実態

こうした厳しい制作現場の内情は、過去のインタビューからも垣間見えていました。2025年7月、デイリースポーツは「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」の映画公開に合わせて、東映で長年スーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズを手掛けてきた白倉伸一郎プロデューサー（当時はキャラクター戦略部長）に取材しています。

その中で白倉氏は、スーパー戦隊シリーズの制作体制について「よくも悪くも自転車操業」であり、「1年先の作品が決まっていない」状態が続いていたと明かしています。彼は「それをずっと重ねてきて、うまくいく場合もいかない場合もあるわけです。いつも『時間がないぞ』って」と語っており、長年にわたり、翌年の企画開発を並行しながらギリギリのスケジュールで制作が続けられてきた実態が伺えます。

さらに白倉氏は、「仮面ライダーシリーズ」との「温度差」についても言及。「戦隊ってライダーよりもなんとなく同じことを繰り返しているってイメージが世間にもあると思うし、現場にもあるんですよ」と、内部でもマンネリ化への危機感があったことを吐露しています。そして「だからこそ『新しいものにトライできる現場にしていこうってやってるんですよね』」と、未来（次のステージ）を見据えた変革の必要性を語っていました。

しかし、このインタビューからわずか3ヶ月後、シリーズ終了の報道が流れたことになります。このことは、白倉氏らが目指した「新たなフェーズ」への移行が叶わず、長年の「自転車操業」と「製作費高騰」の重圧が、ついに限界点を超えてしまったことを示唆しているのかもしれません。

3. スーパー戦隊シリーズの視聴率推移：長期低迷の実態とは

「人気低迷」を測る最も分かりやすい指標の一つが「視聴率」です。スーパー戦隊シリーズの50年の歴史は、この視聴率という数字とも密接に関わってきました。ただし、時代と共に「視聴率」そのものの価値が変動している点も考慮に入れる必要があります。

3-1. 往年の高視聴率時代（1970年代～80年代）

シリーズの原点である「秘密戦隊ゴレンジャー」（1975年）は、土曜の夜7時30分というゴールデンタイムに放送されていました。当時のテレビが一家に一台であり、家族揃って視聴するのが当たり前だった時代背景もあり、平均視聴率が常時20%を超えることもあった（データによれば平均16%前後）、まさに「お化け番組」でした。

その後、放送枠が土曜夕方18時に移った「バトルフィーバーJ」（1979年）以降も、1980年代を通じてシリーズは平均10%台後半を維持する非常に人気の高いコンテンツであり続けました。この時代は、まさにスーパー戦隊の黄金期と言えるでしょう。

3-2. 視聴率低下のターニングポイント

しかし、1990年代に入ると、視聴者のライフスタイルの変化、CS放送やビデオレンタル、家庭用ゲーム機といった娯楽の多様化、そして根本的な「少子化」の影響を受け、視聴率は徐々に低下し始めます。

大きなターニングポイントとして、ファンからしばしば指摘されるのが「放送枠の移動」です。

1997年：日曜朝7時30分への移動
金曜夕方から日曜朝へと移動し、「ニチアサ（スーパーヒーロータイム）」枠が確立されました。これにより、ターゲットである子どもたちが視聴しやすい時間帯にはなりましたが、ゴールデンタイム時代のような圧倒的な数字は望めなくなりました。
2017年：日曜朝9時30分への移動
これが決定打になったと指摘する声（ネット上のコメントなど）は少なくありません。それまでの7時30分から9時30分へと放送時間が繰り下げられました。この時間は、地域によっては他の人気アニメ番組（例：『ワンピース』など）と競合する時間帯であり、また、家族で外出する準備を始める時間帯とも重なります。この変更が、リアルタイム視聴率のさらなる低下を招いた一因となった可能性はあります。

3-3. 近年の視聴率と「リアルタイム視聴」の価値の変容

近年のスーパー戦隊シリーズの平均視聴率（世帯）は、2%～3%台で推移しているとされています（ネット上では「仮面ライダーも。大人向けに作るか、子供向けに作るかしてたらどっち付かずになりそう」といったコメントもあり、視聴率の苦戦をうかがわせます）。

ただし、この数字だけを見て「人気がない」と断じるのは早計です。現代において、テレビ番組の視聴方法は劇的に変化しています。

録画視聴の一般化: リアルタイムではなく、録画して後で見る家庭が大多数です。
配信プラットフォームの台頭: TVerでの見逃し配信や、TTFC（東映特撮ファンクラブ）、Amazonプライム・ビデオなどの定額制動画配信サービスで視聴する層が激増しています。

これらの視聴者は、従来の「視聴率」の数字にはカウントされません。そのため、番組の真の「人気」や「視聴者数」は、リアルタイム視聴率だけでは測れなくなっています。

しかし、問題はスポンサー、特にメインスポンサーである玩具メーカー（バンダイナムコグループ）にとっての価値です。彼らにとって重要なのは、ターゲットである子どもたちが、リアルタイムで番組を見てCMに触れ、玩具を「欲しい」と思うことです。録画視聴ではCMはスキップされがちであり、配信ではCMが流れないか、異なるCMに差し替えられます。

つまり、リアルタイム視聴率の低下は、番組の「人気」そのものの低下以上に、「玩具販促メディアとしての価値の低下」に直結してしまったのです。これが「採算性の悪化」の根深い原因の一つであったと強く推測されます。

4. スーパー戦隊シリーズの関連グッズ売上推移：ビジネスモデルの限界

テレビ番組としての「視聴率」が広告メディアとしての価値を示す指標であるとすれば、「関連グッズ売上」はプロジェクト全体の生命線、すなわち屋台骨そのものです。スーパー戦隊シリーズの終了理由として「採算性の悪化」が最も有力視される中、このグッズ売上の長期的な推移を詳細に分析することは、真相を理解する上で不可欠です。

4-1. バンダイナムコの決算から見る売上規模の実態

スーパー戦隊シリーズの関連グッズは、主にスポンサーであるバンダイナムコホールディングス（旧バンダイ）が製造・販売しています。同社が発表する決算資料（ファクトブックなど）内の「IP（知的財産）別売上高」は、シリーズの経済的な健全性を示す最も信頼できる一次情報源です。

ネット上のコメント（edn氏）でも指摘されている通り、この売上規模が近年、深刻な状況に陥っていました。そのコメントによれば、シリーズの通期売上は「100億円割れ」が常態化し、最盛期（例えば「百獣戦隊ガオレンジャー」や「侍戦隊シンケンジャー」の頃は200億円規模に達したとも言われています）と比較して大幅に縮小。「今では50億円あるかないかという規模感」にまで落ち込んでいたとされています。

この「50億円規模」という数字は、仮面ライダーシリーズが年間200億円～300億円規模の売上を安定して維持していることと比較すると、その差は歴然です。同じ東映・テレビ朝日・バンダイナムコという座組でありながら、スーパー戦隊は仮面ライダーの4分の1から5分の1程度の市場規模にまで縮小していた可能性が示唆されています。この売上規模では、高騰を続けるテレビ番組の制作費や、大々的な広告宣伝費を賄うことが年々困難になっていたことは想像に難くありません。

4-2. 海外展開（パワーレンジャー）売却という決定的打撃

この国内市場の縮小に、さらに追い打ちをかける決定的な出来事がありました。それが、海外版スーパー戦隊である「パワーレンジャー」の権利売却です。

1990年代から、スーパー戦隊シリーズの映像（主に戦闘シーン）を再編集し、北米向けに新たなドラマパートを加えてローカライズした「パワーレンジャー」シリーズは、世界的な大ヒットコンテンツとなっていました。この権利は長らくサバン・プロパティーズが保持し、玩具はバンダイ・アメリカが手掛けるなど、バンダイナムコグループにとって非常に大きな収益源の一つでした。

しかし、2018年。この「パワーレンジャー」に関する権利（映像、玩具、ライセンスなど一切）が、ライバル企業であるアメリカの玩具メーカー大手「ハズブロ（Hasbro）」によって、約5億2200万ドル（当時のレートで約570億円以上）で買収されました。

この買収の影響は甚大でした。ネット上のコメント（edn氏）が的確に指摘している通り、「パワーレンジャーはバンナムの決算から外れ」ることになりました。これにより、バンダイナムコグループは、スーパー戦隊IPに関連する莫大な海外売上を一挙に失うことになったのです。

結果として、スーパー戦隊というIPは、「国内市場の縮小（少子化・視聴多様化）」と「巨大な海外市場の喪失」という、二重の打撃を受けることになりました。国内の売上だけでシリーズ全体を支えなければならなくなったことが、今回の「採算性悪化」による終了報道の、最も根本的かつ直接的な原因であると分析できます。

4-3. メイン商材「巨大ロボ」のジレンマ

ビジネスモデルの観点からもう一つ指摘できるのが、メイン商材である「巨大ロボット」のジレンマです。

スーパー戦隊の玩具ビジネスは、放送開始と同時に発売される「1号ロボ」を中心に展開されます。その後、追加戦士の登場やパワーアップに合わせて「2号ロボ」「3号ロボ」、そしてそれらが合体する「最終合体ロボ」へと商戦が移行していきます。この「巨大ロボ」はシリーズの象徴であり、最大の魅力でした。

しかし、このビジネスモデルには構造的な弱点がありました。

高コスト・高単価: 複雑な合体ギミックを持つ巨大ロボットは、開発費・製造コストが高く、必然的に販売価格も高額になります。少子化や可処分所得が伸び悩む中で、高額な玩具を毎年買い与える保護者の負担は増大していました。
革新の困難さ: 「合体ロボ」というフォーマット自体が半世紀近く続いたことで、新たな驚きやギミックを生み出すことが年々困難になっていました。「マンネリ化」「毎年同じことの繰り返し」というイメージ（前述の白倉氏の言及）は、玩具のデザインにも当てはまっていた可能性があります。
拡張性の限界: 一度その年のロボットを購入しても、翌年の新しいシリーズが始まれば、世界観はリセットされます。前年のロボットと新しいロボットが連動して遊べる機会は少なく（VSシリーズなどの例外を除く）、コレクションの継続性が途切れがちでした。

この点は、後述する「仮面ライダー」のビジネスモデルと対照的です。「（玩具の）販促と質の良いストーリーとの両立が年々難しくなっている」というネット上のコメント（bal氏）は、まさにこの「巨大ロボ」を売らなければならないという宿命と、面白い番組を作りたいという制作現場のジレンマを的確に表していたと言えるでしょう。

5. 出演者の二股不倫騒動との関係性は？浅井宏輔、今森茉耶、道脇豊の不倫騒動は何があった？

50周年という記念すべき年に放送された「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」。シリーズの節目を祝うお祭りとなるはずだったこの作品は、放送内容とは全く別の形で、世間の注目を集めることとなりました。2025年9月、週刊文春によって報じられた「戦隊内不倫・二股疑惑」スキャンダルです。この前代未聞の不祥事が、シリーズ終了という経営判断に影響を与えた可能性はあるのでしょうか。

5-1. 2025年9月の「戦隊内不倫」報道

2025年9月10日、週刊文春（電子版）は衝撃的なスクープを報じました。「ゴジュウジャー」のメインスタッフとキャストの不適切な関係を伝えるもので、名指しされたのは以下の2名でした。

浅井宏輔（あさいこうすけ）氏（当時41歳）：主人公・戦隊レッド「ゴジュウウルフ」の変身後を演じるスーツアクター。ジャパンアクションエンタープライズ（JAE）所属のトップランナーであり、既婚者（妻子あり）と報じられました。
今森茉耶（いまもりまや）氏（当時19歳）：史上初の女性ブラック戦士「ゴジュウユニコーン」の変身前・一河角乃（いちかわすみの）を演じる女優。2023年のミスマガジングランプリを受賞した、売り出し中の新人でした。

報道によれば、妻子ある浅井氏が、22歳年下である今森氏にSNSのダイレクトメッセージ（DM）を通じてアプローチし、不倫関係（報道では「本命交際」報道に対する「密会」と表現）にあったとされています。浅井氏はスーツアクター界のレジェンド的存在であり、今森氏は期待の新人女優。子どもたちに夢を与える番組の、まさに「中の人（ヒーローの魂）」と「変身前の顔（アイコニックな存在）」という、シリーズの中核を担う二人のスキャンダルは、制作現場やファンに計り知れない衝撃を与えました。

5-2. 浅井宏輔氏の「持病悪化」による降板発表の裏側

この文春報道には、不可解な伏線がありました。報道に先立つ2025年9月1日、番組を制作する東映は公式サイト上で、浅井宏輔氏が「ゴジュウウルフ」役を降板することを突如発表していたのです。その公式な理由は、「ご本人のご持病の悪化により、万全な状態で、長期的に役を続けることが困難な状況となりました」というものでした。

しかし、文春の報道は、この「持病悪化」は表向きの理由に過ぎず、実際にはこの不倫関係が浅井氏の妻に発覚し、今森氏の所属事務所にも連絡がいくという大きな騒動に発展した結果の、事実上の「更迭」であったと報じています。

週刊文春の直撃取材に対し、浅井氏は「（不倫は）してないです」と小声で否定したとされています。一方、東映は取材に対し「キャストのプライベートにつきましては、お答えできる立場にございません」と回答しています（文春記事の引用情報より）。この公式発表と報道内容の著しい乖離が、騒動の信憑性をかえって高める結果となりました。

5-3. 今森茉耶の「二股」疑惑とサッカー選手・道脇豊

スキャンダルはこれだけでは収まりませんでした。9月17日、週刊文春はさらなる続報として、今森茉耶氏に「二股」疑惑があったと報じたのです。当初の報道（文春記事の引用情報）では、この時点では「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真、という別のスキャンダル（高橋藍氏）が記載されていましたが、その後の報道（9月17日）では、別の男性の影が浮上しました。（※注：当初の報道には高橋藍氏の二股疑惑が記載されていましたが、ここでは「今森茉耶」氏に関連する「道脇豊」氏の疑惑について詳述します。高橋藍氏の件は、本件「スーパー戦隊」の不倫報道とは別のスキャンダルとなります）

9月17日の文春続報によれば、今森氏には浅井氏と関係を持つ以前から本命の恋人がいたとされています。その相手とは、プロサッカー選手でU-20日本代表にも選出された道脇豊（みちわきゆたか）選手（当時19歳）。道脇選手はJ2ロアッソ熊本からベルギー2部リーグのSKベフェレンへ期限付き移籍中であった、将来を嘱望されるアスリートです。

報道によれば、今森氏は同い年である道脇選手と遠距離恋愛を続けながら、撮影現場で出会った22歳年上の既婚者・浅井氏とも密会を重ねていた、というのが「二股疑惑」の骨子です。

この続報に対し、今森氏の所属事務所は、道脇選手との二股交際については「現在、交際をしている事実はなく、また、過去に二股をしていた事実もございません」と強く否定しました。しかし、浅井氏との不倫疑惑については「事実確認を行っている」と回答するに留まり、その対応の温度差がさらなる憶測を呼びました。

5-4. 放送終了報道とスキャンダルの関係性

では、この一連の「戦隊内不倫・二股疑惑」騒動が、シリーズ全体の放送終了に直接的な影響を与えたのでしょうか。

2025年10月30日の「放送終了」報道において、このスキャンダルは直接的な理由としては挙げられていません。各社ともに「採算性の悪化」「製作費の高騰」を主な理由として報じています。ネット上のコメント（ネット上のコメントの blu氏）でも「現在のゴジュウジャーの不祥事によるものかと思いましたが違うんですね」と、直接の原因ではないと受け止める声もあります。

しかし、間接的な影響は甚大であったと考察するのが妥当でしょう。スーパー戦隊シリーズは、そのビジネスモデルの多くを玩具メーカーであるバンダイナムコグループという「スポンサー」に依存しています。スポンサー企業にとって、自社製品の広告塔である番組の「ブランドイメージ」は生命線です。

50周年という記念すべき作品で、子どもたちに夢を与えるはずのヒーロー（の「中の人」）とヒロインが、不倫や二股といったスキャンダルを起こしたことのイメージダウンは計り知れません。特に、メインターゲットである子どもたちに玩具を買い与える「保護者層」からの信頼を著しく損ねたことは間違いありません。

すでに「採算性の悪化」という経営的な課題を抱えている中で、この決定的な「ブランド毀損」が発生したことは、「シリーズ継続のリスクは、もはやリターン（売上）に見合わない」という最終的な経営判断を、テレビ朝日、東映、そしてバンダイナムコグループに下させる、最後の一押し（引き金）となった可能性は極めて高いと考えられます。

6. スーパー戦隊シリーズでスターになった俳優は誰？「登竜門」の歴史

スーパー戦隊シリーズの50年の歴史は、単なる特撮番組の歴史ではありません。それは同時に、日本の芸能界における「若手俳優の登竜門」としての確固たる歴史でもありました。1年間の長きにわたり、日曜朝の顔として全国的な知名度を獲得し、過酷な撮影スケジュールを通じて俳優としての基礎体力を培うことができるこの枠は、多くの新人俳優にとってスターダムへの輝かしい第一歩でした。

シリーズの終了が現実味を帯びる中、この「登竜門」が失われることの意味は非常に大きいと言えます。本シリーズが輩出したレジェンド級のスター俳優・女優たちを、その功績と共に振り返ります。

6-1. 近年（2010年代～）輩出されたスター俳優たち

特に2010年代は「イケメンヒーロー」ブームとも相まって、現在（2025年）の日本のドラマ・映画界を牽引する多くの人気俳優がここから羽ばたきました。

松坂桃李（まつざかとおり）
- 出演作: 『侍戦隊シンケンジャー』（2009年） – 志葉丈瑠 / シンケンレッド役
- 功績: まさに「戦隊出身俳優」の筆頭格。本作が俳優デビュー作でありながら、堂々とした「殿」を演じきり人気を博しました。その後、映画『孤狼の血』シリーズや『新聞記者』などで日本アカデミー賞最優秀主演男優賞・助演男優賞を受賞。2027年放送のNHK大河ドラマ「逆賊の幕臣」の主演にも決定しており、名実ともに日本を代表する俳優の一人となりました。彼自身、制作発表会見で「『シンケンジャー』から時を経て…」と、原点である戦隊への言及を忘れていません。
横浜流星（よこはまりゅうせい）
- 出演作: 『烈車戦隊トッキュウジャー』（2014年） – ヒカリ / トッキュウ4号役
- 功績: 空手の世界大会で優勝した経歴を持つ高い身体能力を活かし、アクションもこなせる俳優として頭角を現しました。彼自身が「トッキュウ4号役で演じることの楽しさに気づき、役者の道へ進むことを決意」したとされており、まさに人生の転機となった作品です。2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～」で主演を務めるなど、トップスターの地位を確立しています。
志尊淳（しそんじゅん）
- 出演作: 『烈車戦隊トッキュウジャー』（2014年） – ライト / トッキュウ1号役
- 功績: 横浜流星氏と共に「トッキュウジャー」でW主演格として活躍。コミカルな役から、NHK連続テレビ小説「半分、青い。」で見せたような繊細な役までこなすカメレオン俳優として高い評価を得ています。
山田裕貴（やまだゆうき）
- 出演作: 『海賊戦隊ゴーカイジャー』（2011年） – ジョー・ギブケン / ゴーカイブルー役
- 功績: 本作が俳優デビュー作。クールな二刀流の剣士役で人気を博しました。現在、ドラマ「ペンディングトレイン―8時23分、明日君と」や映画「東京リベンジャーズ」シリーズなど、出演作が途切れない実力派俳優として、唯一無二の存在感を放っています。
竜星涼（りゅうせいりょう）
- 出演作: 『獣電戦隊キョウリュウジャー』（2013年） – 桐生ダイゴ / キョウリュウレッド役
- 功績: 「キング」と呼ばれるカリスマ性あふれるレッドを演じきりました。その後、パリ・コレクションのランウェイを歩くなどモデルとしても活躍し、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」での好演も記憶に新しいです。
千葉雄大（ちばゆうだい）
- 出演作: 『天装戦隊ゴセイジャー』（2010年） – アラタ / ゴセイレッド役
- 功績: 本作が俳優デビュー。「あざとかわいい」の先駆けとも言えるその愛らしいルックスで、放送当時から子どもたちだけでなく母親層からも絶大な支持を受けました。現在はバラエティ番組のMCや、実力派俳優として幅広く活躍しています。

6-2. 昭和・平成期に活躍したレジェンド俳優たち

「登竜門」としての歴史は古く、昭和・平成初期からも、現在（2025年）の芸能界を支える多くのスターが誕生しています。

誠直也、宮内洋（秘密戦隊ゴレンジャー / 1975年）：初代アカレンジャー（誠氏）とアオレンジャー（宮内氏）。宮内氏は「仮面ライダーV3」にも主演しており、まさに日本のヒーロー史を象徴するレジェンドです。
嶋大輔、西村和彦（超獣戦隊ライブマン / 1988年）：レッドファルコン役（嶋氏）、イエローライオン役（西村氏）。当時の若者から絶大な支持を受け、西村氏はその後トレンディドラマなどで不動の人気を獲得しました。
照英（星獣戦隊ギンガマン / 1998年）：ギンガブルー役。ヒーロー役で培った誠実なイメージをそのままに、現在はタレントとして、その熱い人柄で愛されています。
玉山鉄二（百獣戦隊ガオレンジャー / 2001年）：ガオシルバー役。追加戦士ながら圧倒的な存在感を放ち、後にNHK連続テレビ小説「マッサン」で主演を務め、国民的俳優となりました。
高橋光臣（轟轟戦隊ボウケンジャー / 2006年）：ボウケンレッド役。熱血漢のチーフを演じ、現在は舞台やNHK大河ドラマ「光る君へ」などで活躍する実力派俳優です。

6-3. 人気女優への道筋となったヒロインたち

戦隊ヒロインもまた、多くの人気女優を輩出してきました。「紅一点」として、あるいは「ダブルヒロイン」として、1年間作品に華を添えた経験は、彼女たちのキャリアの確かな礎となっています。

さとう珠緒（超力戦隊オーレンジャー / 1995年）：オーピンク役。「プンプン」のセリフで一世を風靡し、バラエティタレントとしても大ブレイクしました。
高梨臨（侍戦隊シンケンジャー / 2009年）：シンケンピンク役。松坂桃李氏らと共に活躍し、現在は実力派女優として多くのドラマに出演しています。
飯豊まりえ（獣電戦隊キョウリュウジャー / 2013年）：キョウリュウバイオレット役（2代目・変身前）。出演は終盤のみでしたが、印象的な役を演じ、現在はモデル・女優として第一線で活躍中です。

（※なお、一部の情報では「新川優愛」氏の名前も女優の輩出例として挙げられていますが、新川氏のスーパー戦隊シリーズへのレギュラー出演事実は確認できませんでした。これは別作品との混同、あるいはゲスト出演等からの誤認の可能性があります。）

これほど多くの才能を発掘し、育て上げてきた「スーパー戦隊シリーズ」という枠が失われることは、日本のエンターテイメント産業全体にとって、計り知れない損失となることは疑いようがありません。

7. スーパー戦隊シリーズ終了で芸能界を受ける影響は？新人売り出しへの影響は？

前述の通り、スーパー戦隊シリーズは半世紀にわたり、日本の芸能界において「若手俳優の登竜門」として、ほかに類を見ない極めて重要な機能を果たしてきました。シリーズのテレビ放送が終了するという事態は、単に一つの番組がなくなるというだけでなく、この巨大な「育成の場」が失われることを意味し、今後の新人俳優の売り出し戦略や芸能界の勢力図にも計り知れない影響を与えると考えられます。

7-1. 1年間の「実戦教育プログラム」という唯一無二の価値

新人俳優、あるいはその所属事務所にとって、スーパー戦隊シリーズのレギュラーキャスト（特にヒーロー役）に選ばれることは、単なる「テレビ出演」以上の計り知れない価値を持っていました。それは、他のどんなドラマ枠にもない、特殊かつ濃密な「1年間の実戦教育プログラム」であったからです。

長期間のレギュラー出演保証:
現在のテレビドラマが1クール（3ヶ月・全10話程度）が主流であるのに対し、スーパー戦隊シリーズは1年間（約50話）にわたり、ほぼ毎週主役級として出演が保証されます。これは、新人俳優が視聴者に顔と名前を覚えてもらう上で、圧倒的に有利な条件でした。
多様なスキルの習得と実践:
キャストに求められるのは、通常のドラマパートの演技だけではありません。
アクション: 専門のスタントチームの指導を受けながら、1年を通じて生身でのアクションシーンをこなします。
アフレコ（声の演技）: 変身後のヒーローの声を当てるため、声優としての技術も磨かれます。

イベント出演: 「シアターGロッソ」でのヒーローショーや、全国を巡るファイナルライブツアーなど、大観衆の前でパフォーマンスを行う「舞台経験」も積みます。

歌唱: キャラクターソングのレコーディングなど、歌手としての活動を経験することもあります。

全国的な知名度の獲得:
日曜朝の放送枠（スーパーヒーロータイム）は、メインターゲットである子どもたちだけでなく、その保護者である20代～40代の親世代、さらには祖父母世代という、極めて幅広い層の目に触れます。これにより、全くの無名だった新人俳優が、1年後には一気に「全国区の知名度」を持つスター候補へと駆け上がることができました。

この「1年間の実戦教育プログラム」とも言える枠が失われることは、才能ある原石を体系的に磨き上げ、効率的に世に送り出すための一大ルートが、一つ丸ごと失われることを意味します。

7-2. 芸能事務所の新人売り出し戦略への大打撃

多くの芸能事務所、特に男性の新人俳優を抱える事務所にとって、この「特撮ヒーロー枠」（スーパー戦隊または仮面ライダー）に自社の「金の卵」を送り込むことは、新人売り出し戦略における最重要ミッションの一つでした。オーディションには毎回数千人が応募すると言われ、その競争は熾烈を極めます。

スーパー戦隊シリーズが終了することにより、この戦略は根本的な見直しを迫られます。

まず考えられるのは、残されたもう一つの枠である「仮面ライダー枠」への競争のさらなる激化です。従来は「戦隊でレッド（主役）」「ライダーで1号（主役）」という2つの頂点が存在しましたが、今後は「ライダーの主役」という一つの椅子を、これまで以上の数の有望な新人が争うことになるでしょう。

また、芸能事務所は、深夜ドラマ、Webドラマ（配信オリジナル）、2.5次元ミュージカル、あるいはSNSでのセルフプロデュースなど、他の媒体での新人育成・売り出しを、これまで以上に強化する必要に迫られます。しかし、先ほど紹介された松坂桃李氏や横浜流星氏のような、老若男女問わず全国民的な知名度を一気に獲得できるスーパー戦隊シリーズの「露出効果」を代替できる枠は、他には見当たらないのが実情です。新人俳優がスターダムにのし上がる道筋が、一つ、大きく狭められることになるのは間違いありません。

8. 仮面ライダーシリーズは順調？スーパー戦隊シリーズと明暗を分けた理由はなぜ？

スーパー戦隊シリーズの「終了」報道が衝撃を与えた一方で、多くの人が疑問に思ったのは、「では、仮面ライダーはどうなのか？」ということでしょう。同じ東映・テレビ朝日制作の特撮ヒーロー番組であり、「スーパーヒーロータイム」としてセットで放送されてきた「兄弟」のような存在です。

結論から言えば、仮面ライダーシリーズは、スーパー戦隊シリーズが直面しているような深刻な経営危機には瀕しておらず、ビジネスとしては「順調」と見られています。なぜ、同じ枠で放送される両者の間で、これほどの「明暗」が分かれてしまったのでしょうか。

8-1. 決定的な「ビジネスモデル（玩具販促）」の違い

両者の明暗を分けた最大の理由は、その中核にある「ビジネスモデル＝玩具販促」の構造的な違いにあります。

仮面ライダー:
- 中心アイテム: 「変身ベルト」
- 収集アイテム: ベルトに連動する小型アイテム（例：カード、メダル、スイッチ、眼魂、ライドケミーカードなど）。
- ビジネスモデルの特徴:
  まず「変身ベルト」というプラットフォーム（本体）を購入させ、その後、放送期間中に次々と登場する新しい「収集アイテム（拡張パーツ）」を継続的に購入させるビジネスモデルです。収集アイテムは単価が比較的安価なものが多く、コレクション性が非常に高いのが特徴です。「ベルト」という中心商材は変わらないため、開発コストも最適化しやすいとされます。さらに、この「ベルト」は、高価格帯の「大人向け（CSMシリーズなど）」としても巨大な市場を形成しており、子どもから大人まで、幅広い層から長期間にわたり収益を上げることが可能です。
スーパー戦隊:
- 中心アイテム: 「巨大ロボット」
- 収集アイテム: 変身アイテムや、追加合体するメカ。
- ビジネスモデルの特徴:
  メイン商材である「巨大ロボット」は、その複雑な合体ギミックゆえに開発費・製造コストが高く、販売価格も高額になりがちです。主な購買層は「（孫に買い与える）祖父母」や「（クリスマスや誕生日に買い与える）親」に限られがちでした。また、最大の弱点は「拡張性の低さ」です。基本的に、その年のロボットはその年のシリーズでしか活躍しません。翌年に新しいシリーズが始まれば、世界観はリセットされ、前年のロボットは（一部のVSシリーズを除き）陳腐化してしまいます。これにより、仮面ライダーのような「コレクションの継続性」が生まれにくく、毎年ゼロから新規顧客を開拓し続ける必要がありました。

結果として、バンダイナムコグループの決算において、仮面ライダーIPの売上高が年間200億円～300億円規模を安定して維持する「超優良IP」であるのに対し、スーパー戦隊IPは前述の通り「50億円～100億円」規模に留まり、その収益力には圧倒的な差が生まれていました。このビジネスモデルの強度の差が、片や「順調」、片や「採算悪化」という明暗を分けた最大の要因と言えます。

8-2. 白倉プロデューサーが語った「ライダーとの温度差」

このビジネスモデルの違いは、番組制作の「革新性」にも影響を与えました。デイリースポーツの取材で紹介された東映・白倉伸一郎氏の言葉は、その内情を的確に表しています。

「戦隊ってライダーよりもなんとなく同じことを繰り返しているってイメージが世間にもあると思うし、現場にもあるんですよ。だからこそ『新しいものにトライできる現場にしていこうってやってるんですよね』」

この発言は、シリーズの「革新性」に対する内部の意識の差を示唆しています。

仮面ライダー: 2000年の「仮面ライダークウガ」以降、「平成ライダー」として大胆な革新を続けました。「ライダー同士の戦い」「複数のライダーの登場」「重厚な人間ドラマ」「難解なストーリー」など、作品ごとに作風を大きく変え、様式美（フォーマット）をあえて破壊することで、常に新しい刺激を生み出し続けました。これが「大人も楽しめる特撮」としてのブランドを確立し、高年齢層のファンやコレクター市場を強固にしました。
スーパー戦隊: 一方、戦隊は「色分けされた5人（+α）」「派手な名乗り」「勧善懲悪」「巨大ロボット戦」という基本フォーマット（様式美）を半世紀にわたり堅持しました。これはシリーズのアイデンティティであり、子どもたちへの「分かりやすさ」という最大の強みでした。しかし、その強みこそが、裏を返せば「マンネリ化」「毎年同じことの繰り返し」というイメージ（白倉氏の言う「温度差」）を生む原因にもなったのです。「巨大ロボットを売らなければならない」という玩具販促のプレッシャーが、仮面ライダーのような大胆なドラマの革新を困難にしていた（＝自転車操業にならざるを得なかった）可能性は否めません。

8-3. 海外戦略の決定的な差

そしてもう一つ、決定的な差となったのが「海外戦略」です。前述の通り、スーパー戦隊は2018年に海外版である「パワーレンジャー」の権利をハズブロに売却し、巨大な海外市場を失いました。

一方で、仮面ライダーは近年、むしろ海外展開を強化しています。「仮面ライダーBLACK SUN」のAmazonプライム・ビデオでの世界同時配信や、中国・アジア圏でのライセンス展開など、新たな収益源の開拓に成功しています。スーパー戦隊が最大の武器であった海外市場を失ったのに対し、仮面ライダーは新たな海外市場を開拓している。この点も、両者の明暗を分ける大きな要因となったと考えられます。

9. スーパー戦隊シリーズ終了に対するネット上の反応とは？

2025年10月30日、スーパー戦隊シリーズの「放送終了」報道は、X（旧Twitter）やYahoo!ニュースのコメント欄など、インターネット上のあらゆるコミュニティを揺るがしました。長年にわたり日本の日曜朝を支えてきた存在の終焉を示唆するニュースに、ファンからは驚き、悲しみ、そして様々な分析や意見が噴出しました。

ネット上で見られたコメントは、ファンの偽らざる心境を如実に表しています。

9-1. 驚きと悲嘆、そして50年への感謝の声

最も多く見られたのは、やはりシリーズの終了を惜しむ、悲痛な叫びにも似た声です。多くの人にとって、スーパー戦隊は「あって当たり前の存在」でした。

「まさかスーパー戦隊が終了するとは思わなかった。仮面ライダーと並んでずっと続くものだと…」
「とても残念です。自分の中で戦隊はチェンジマンから始まり、仮面ライダーと共に無くてはならないヒーローでした」
「世代的にはサンバルカンですが、子どもと一緒にデカレンジャーあたりは毎週楽しみに見ていました」
「50年も続いたことは凄い。松坂桃李さんのシンケンジャーでファンになった思い出がある」
「スーパー戦隊シリーズ今までありがとうございました」

これらのコメントからは、自身の幼少期の思い出や、親子二代、三代にわたって楽しんできた記憶と、シリーズの存在が強く結びついていることが伺えます。「一つの時代が終わった」という喪失感が、世代を超えて共有されました。

9-2. 近年の「迷走」や「マンネリ」への冷静な指摘

一方で、熱心なファンだからこそ、近年のシリーズが抱えていた課題を冷静に指摘する声も少なくありませんでした。終了は「やむを得ない」とする意見です。

「個人的には『ゼンカイジャー』から迷走が続いていると感じていた」
「今の子供にはストーリーが難しいのかな。仮面ライダーも。大人向けに作るか、子供向けに作るかしてたらどっち付かずになりそう」
「玩具等の販促（おもちゃを売ること）と質の良いストーリーとの両立が年々難しくなっていると感じる部分はあった」

これらの意見は、前述の「革新性のジレンマ」や「ビジネスモデルの限界」といった課題を、ファンもまた肌で感じ取っていたことを示しています。愛しているからこそ、変わってほしかった、あるいは、変われなかったことへの諦念が入り混じった反応と言えるでしょう。

9-3. 「終了」ではなく「休止」を願う切実な声

そして、今回の報道で最も特徴的だったのが、「完全な終了」ではなく、「一時的な休止」であってほしいと切に願う声が非常に多かった点です。これは、他の人気シリーズが辿った歴史に基づいています。

「仮面ライダーもBLACK RXで放送終了して、クウガが始まるまで10年以上シリーズを休止していた時期があったので、戦隊もその形になっていったらいいですね」
「シリーズは終わっても歴代作品のアニバーサリーで見れる機会はあるはず。充電期間としてまたスーパー戦隊が見れる日を待っています」
「仮面ライダーやウルトラシリーズのように、ブランク（空白期間）を経ての再開を願っています」
「『休止期間』が全くなく現在まで放映を続けているのは、このスーパー戦隊シリーズが唯一でした。今回遂にその記録も途絶えることになるのは残念ですが、休止期間を経て復活してくれることを願っています」

「ウルトラマン」シリーズも、「仮面ライダー」シリーズも、長い歴史の中でテレビシリーズが放送されない「休止期間（ブランク期）」を経験しています。そして、その休止期間を経て、時代に合わせた新たな作品（「仮面ライダークウガ」や「ウルトラマンティガ」など）として大復活を遂げました。

スーパー戦隊シリーズだけが、1979年以来、一度も休むことなく走り続けてきました。だからこそ、ファンは「一度立ち止まってもいい」「ゆっくり休んで、また新しい戦隊を連れて帰ってきてほしい」という、まるで長距離ランナーを労うかのような温かい声を送っています。これは、シリーズへの深い愛と信頼があるからこその反応と言えるでしょう。

10. まとめ：半世紀の歴史への感謝と、未来への希望

1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」から2025年の「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」まで、スーパー戦隊シリーズは50年という、日本のテレビ史においても稀有な長きにわたり、私たちに「仲間と力を合わせることの素晴らしさ」「決して諦めない心」を教え続けてくれました。

今回の「放送終了」報道は、テレビという媒体そのもののあり方が問われる時代の中で、一つの大きなビジネスモデルが限界を迎えたことを示す、象徴的な出来事だったのかもしれません。少子化、視聴スタイルの多様化、製作費の高騰、そして海外戦略の転換。これら複合的な要因による「採算性の悪化」という現実的な理由が、半世紀続いた歴史に区切りをつける判断を促したと見られています。

50周年という記念すべき作品を襲った「不倫・二股疑惑」スキャンダルは、その直接的な原因ではなかったとしても、シリーズのブランドイメージを毀損し、すでに傾いていた天秤を「終了」の方向へ決定的に押す一因となった可能性は否定できません。

松坂桃李氏や横浜流星氏をはじめ、数えきれないほどのスター俳優を輩出した「登竜門」としての役割を終えることは、日本の芸能界にとっても大きな損失です。

しかし、ネット上の多くのファンの声が示すように、「仮面ライダー」や「ウルトラマン」がそうであったように、これは「永遠の終わり」ではなく、次の時代に適応するための「一時休止（充電期間）」であると信じたいものです。白倉プロデューサーが目指したという「次のステージ」に進むための、必要なインターバルなのだと。

半世紀にわたり、色とりどりの勇気を日曜の朝に届け続けてくれたヒーローたちへ。今はただ、心からの感謝を。そして、いつの日か、新たな時代のヒーローとして、彼らがパワーアップして再び私たちの前に帰ってくることを、強く、強く願っています。

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ゆう

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